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液体TEM試料作製技術

2019/07/18

ナノテクノロジーで作られた製品は、私たちの日常生活で広く使われています。近年、欧米では、ナノテクノロジーを用いた製品の表示や調査に関する法律を制定し始めており、最終製品の完全な物理化学的な分析が必要となってきました。

 

多くの学術機関が、電子顕微鏡(EM)のための新しい液体セル技術の開発に力を注いでいます。この技術は、ナノ粒子の1)種類、2)形状分布、3)直径分布、4)粒子の強凝集や弱凝集、5)粒子濃度などをモニターすることができます。

 

この技術は、ISO/TR13014、ISO 13322-1,-2の規定に基づいて、ナノ粒子の完全な状態に関する定性・定量分析結果を提供することができます。

 

 

図は、電子顕微鏡(EM)用の液体セル(K-kit)のスケッチです。K-kitは簡便でシンプルかつ適用範囲が広く、各社のEMに搭載することができます。液体サンプルから直接サンプルを採取することができ、ナノ材料のラベリングのニーズに応え、最終製品を調査することができます。


 

K-kitはナノ粒子を含む商品/食品/医薬品/生物試料/化粧品/CMPスラリーの研究開発や品質管理活動に適用できます。微小な空間に液体試料を充填し、液体中に存在するナノ粒子の物理化学的特性をTEMやFIBで直接観察・調査することができます。

 

K-kitのアプリケーションでは、液体試料の厚みが固定され、観察領域の体積が計算できることから、2次元的にナノ粒子の分布を確認するだけでなく、さらに計算によってナノ粒子の濃度へ換算することができます。

 


(a-1) 200KVのTEMによる液体試料の観察の様子

(a-2) TEM明視野像

(a-3) ナノ粒子の寸法計測

(b-1) 30KV DB-FIBによるその場観察の様子

(b-2) DB-FIBで得られたSTEM明視野像

(b-3) STEM暗視野像

この図は、K-kitに充填したCMPスラリー原液のTEMおよびDB-FIB観察の結果です。本結果より、200KVのTEMと30KVのDB-FIBの加速電圧の違いにかかわらず、ともにスラリー中のナノ粒子を観察できることが確認されました。