EBSD
技術コンセプト |
SEMに搭載されているEBSD(Electron Back Scatter Diffraction)は、電子線の回折を用いて結晶方位を特定する強力な技術です。 |
近年、SEMのアクセサリーとして定着しているEBSDは、半導体産業における微細構造評価への応用が期待されています。SEMに搭載されたEBSDは、電子線の回折現象を利用して結晶方位を特定する強力な技術です。
電子線を試料表面に照射すると、後方散乱電子が発生します。この後方散乱電子による回折現象により、試料表面を通過する際に菊池線やパターンが形成されます。SEMチャンバー内の試料を70°前後に大きく傾斜すると、最適な回折信号の収集効率が得られます。EBSD検出器で解析された菊池線やパターンに付随する相対的な信号や情報から、各結晶粒の結晶方位を決定することができます。
結晶粒の結晶方位と結晶粒の回折状況を確認した後、境界面の特徴づけ、テクスチャー分析、歪み解析などの研究を行うことができるようになります。また、EBSDとEDXを併用することで、相分離や相分布の研究も可能です。
アプリケーション |
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下部構造解析
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粒度・粒界分布
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結晶方位解析
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相の同定と分布
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変形・再結晶構造解析
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テクスチャー分析
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ひずみ解析
事例 |
結晶方位マップ |
位相マップ |
結晶粒径分布 |
ずれ角分布 |
極点図 |
逆極点図 |
Q & A |
Q1. EBSDの試料サイズは ? |
A. 基本的には、縦・横・高さがそれぞれ1cm、1cm、0.5cm以下になります。なお、分析前に技術部門とご相談されることをお勧めします。
Q2. EBSD分析を行うために必要な試料の条件は ? |
A. EBSD分析では、試料表面が十分に平坦であることが絶対条件です。EBSDの像質は、表面状態に大きく依存します。
Q3. EBSDで結晶粒間の方位角はどの程度まで識別できるのですか ? |
A. 0.05°(理想的な場合)です。
Q4. なぜEBSD分析が必要なのですか ? |
A. 結晶性材料はEBSDで分析することに意義があります。TEMやSEMでは、高分解能で結晶粒の形態を観察できたとしても、結晶粒の寸法や結晶方位の分布を定量化することはできません。
EBSDは、多くの結晶粒をカバーできる大面積のスキャン機能を有しています。このため、相の同定や分布、粒径や粒間のミスオリエンテーションの統計的な解析が可能となります。
Q5. EBSDで識別可能な最小の粒径は ? |
A. 粒径の分析限界は50nm程度です。実はEBSDの解析には試料表面の状態が大きく影響します。一般的には、試料表面の平坦度が高いことが望ましいとされています。
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