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K-kit:液中サンプルの電子顕微鏡分析を可能とする革新的なソリューション

2021/05/12

ナノマテリアルは、私たちの日常生活の中でますます広く使用されるようになっています。欧米では規制が徐々に強化されており、液中環境下でのナノ添加物の分析をいかに正確で高精度に行うかが大きな課題となっています。

最近、欧米各国は、液中ナノ材料の表示・審査に関する新たな規制を策定し、最終製品の状態、特に元の液体環境での完全な物理的および化学的分析の必要性を強調しています。ナノ添加成分の場合、粒子サイズ、サイズ分布、形状、濃度、および強凝集体と弱凝集体、その他の重要な特性の分析が含まれます。

 

ナノ材料を用いる産業の分析ニーズを考えますと、電子顕微鏡を使ってナノマテリアルをミクロのレベルで直接観察することができれば、製品の成分特性の最も確かな画像情報を得ることができます。

 

近年、精密加工技術の急速な発展に伴い、世界各国の一握りのメーカーが液中サンプル分析のためのツールを提供し始めています。しかし、ほとんどの既存の技術では、専用に設計されたin-situホルダーを使用する必要があります。そのため、サンプルの前処理が複雑なだけでなく、必要なハードウェアも非常に高価なものとなっています。また、そのほとんどが学術研究に特化しており、大量のサンプルを高速かつ低コストで分析したいという業界のニーズに応えることができません。

 

 

 

MA-tekの特許技術によるK-Kitは、液中サンプルの高品質な電子顕微鏡画像を可能にします。最終製品の液体の状態でも、乾燥状態に調整したサンプルであっても、どちらも直接観察・分析することができ、産業用途に最適なソリューションとなっています。液体ナノ材料分析のあらゆるニーズに応えることができます。

電子顕微鏡で液体試料を観察するためには、試料溶液を装置の真空環境から隔離する必要があります。最も簡単な方法は、溶液を封入するために液体セルを使用することです。K-kitチップは、ユニボディ構造として設計されています。内部の液体貯蔵チャネルには、毛細管現象によりサンプル溶液を素早くローディングすることができるため、非常に使いやすく、操作性に優れています。

 

下図は、K-kit(液中状態)と従来のTEM用Cuグリッド(乾燥状態)を用いた観察の結果を比較したものです。明らかに、Cuグリッドを観察に使用した場合、乾燥によってナノ粒子が大きく凝集してしまい、凝集した粒子では定性・定量分析ができないことがわかります。

 

Cuグリッドを用いたCMP(Chemical-Mechanical Polishing)スラリー原液のTEM像

大きく凝集してしまい、ナノ粒子の真の大きさや分散状態の分析が不可能

K-kitを用いたCMPスラリー原液のTEM像

元の液中環境におけるナノ粒子の実際の外観,サイズ、分散状態を明確に観察可能

 

 

 

K-kitは独自のユニボディ構造を採用しています。1回限りの使用を前提に設計されているため、クロスコンタミネーションの心配がありません。また、使用前にチップを洗浄する必要がなく、表面処理、組み立て、リークテストなどの前処理も不要です。液体サンプルは毛細管力によってローディングされるため、高粘度の溶液や油分の多いサンプルでも希釈することなく確実に安定してローディングできます(3,000mPa・sを超える粘度の液体のローディングが可能)。

 


K-kitチップの模式図


K-kitローディング方法

 

 

K-kitチップは、一般的なTEM標準規格のCuグリッドに固定します。そのため、Hitachi、FEI、JEOLなどのブランドを含むほとんどの電子顕微鏡のホルダーにそのまま取り付けて観察することができます。

 


K-kitは、あらゆるメーカーのTEMでの観察に対応しています。

 

 

 

K-kitは、電子顕微鏡での液中サンプル観察の産業応用に関して、無限の可能性を秘めています。エレクトロニクス産業、生物医学・化粧品、食品・飲料など、どのような分野においても、迅速かつ効果的な分析が可能です。

K-kitの応用範囲は広く、エレクトロニクス産業におけるナノ材料の品質管理(CMPスラリー中の粒子径や分散状態の分析など)、生物医学分野における新薬開発や病理学的研究、食品や飲料に含まれるナノ添加物の分析、日常的に使用する医療品や化粧品の成分検査(ナノ成分を含む日焼け止めや化粧水など)などが挙げられます。K-kitを使えば、これらの作業をすべて迅速に行うことができます。

 

さらに、K-kitはスマートヘルスケアの分野でも幅広い可能性を秘めています。新薬の開発、生物学的・医学的研究、病気の検出、血液スクリーニングなどに利用できます。医療診断や研究のために、最も正確で直観的な液体サンプルの電子顕微鏡分析結果を提供できます。

 

下図の例では、半導体プロセスで使用されるCMPスラリーをK-kitにローディングしています。TEM像の観察結果と粒度分布をご覧ください。

 

CMPスラリー中の一次粒子と二次粒子の粒度分布と凝集状態の分析結果

 

 

下の図は、多層カーボンナノチューブ(MWCNT)のサンプル溶液をK-kitで観察したものです。K-kitでは、カーボンナノチューブの分散状態や多層構造がはっきりと観察できます。(MWCNTs: OD 30-80nm, Length < 10μm, 10wt%)

 

K-kitを用いた、溶液中の多層カーボンナノチューブのTEM像

 

 

K-kitを用いると溶液中の生体試料の真の姿と分布を観察することができます。

 

血小板の細胞外小胞 / 大腸菌ヌクレオイド / 液体中の膠原線維束

 

 

一般的に、産業用アプリケーションに関しては、K-kitには以下のような利点があります。

  • 迅速,簡便,低価格

     

  • 全メーカーのTEMで使用可能

     

  • SEMでの観察(STEMモード利用)

     

  • さまざまな化学溶液のサンプルに使用可能

     

  • クロスコンタミネーションフリー

     

  • 定量的な粒度分布分析が可能

     

  • 高粘度液体への適用可能(毛細管現象)

     

  • ネガティブ染色や複数回のローディングにも対応

     

  • 温度範囲 -196℃~120℃

     

  • EDXと電子線回折が可能

     

  • 長期保存,繰り返し観察可能

 

K-kitは、液中サンプルの電子顕微鏡観察を高品質に実現します。実際の最終製品の液体の状態でも、乾燥状態に調整したサンプルであっても、どちらも直接観察・分析することができます。その利便性、迅速性、適用範囲の広さから、学術研究での複雑な試験条件だけでなく、産業関連のナノ材料分析にも適した市場で唯一のツールです。

 

現在、K-kit製品は、世界中の電子顕微鏡の消耗品を扱う12社以上の代理店から販売されています。また、MA-tekは包括的な液中サンプル分析サービスを提供しています。K-kitは、世界の産業界や学術研究機関において、電子顕微鏡に不可欠な液中サンプルイメージングソリューションとなることでしょう。